網走からウトロ
 そしてイワウベツ川へ

 この旅で唯一予約した宿「流氷の丘ユースホステル」
ユースでの夕食は18:00に始まった。ほかの同宿者は3人。
リタイアーしたおじさん2人、若い女性1人。
それぞれが一人旅だ。ぼくたちと同じテーブルで,同じ料理を食べる。
話が弾む。旅に対するその人の思いが伝わってくる。
 こんなに楽しい時間があるのなら,今日釣ったヤマメをキープしておくんだった。
それをマスターに頼んで料理して貰うんだったと悔やまれた。
 ユースホステルに泊まるのは、3人ともはじめての経験。
知らないもの同士が,同じテーブルで食事を取る。これは捨てがたい魅力。
帰ったら早速年会費2,000円也を払って、ユースの会員になろう。
実は会員になると、宿泊費がビジターより毎回1,000円安いのだ。
そんな事より,ユースホステルの雰囲気が、すっかり気に入ってしまった。 

   
ユースホステルの周りに咲いている野生の花々。ルピナスもあった。

  
話を聞いた農家           園芸種タンポポ              放置されたトドマツ植林地                                

泊まったユースホステルのある、明治地区の台地には、広大な農場が広がっていた。
庭の手入れをしていた農家の主人に話し掛ける。流氷が押し寄せる頃の気温。
農業環境の現状。作物の種類等々話は尽きることが無かった。
内地に違わず、若者の農業離れ,後継者の不在、営農の不効率、
さまざまな要因が重なって、農地が放棄される。
植林された3〜40年のトドマツ林は、密植されたままの状態で荒れ放題。
北海道の大部分が、やがてまた原生林へと戻るのだろうか。
それは嬉しいような、嬉しくないような・・・・
厳しい大自然の中で生活している人たちは、自分の庭をつくり、
写真のような、可憐な園芸種のタンポポなどを植えて
心の安らぎをおぼえているのだろうか?
それは筆者の想像とはかけ離れているのかもしれないけれど、
 「うちの祖先は、新潟から来ました」
老境にさしかかった農夫の言葉に,少しホッとしてさようならをした。

   
イワウベツ川の流れと最初に釣れたオショロコマ知床の山々にはまだ残雪が見えている。

 イワウベツ川は明るく開けた渓流だった。知床半島はヒグマの濃い生息地域だ。
川の右岸を通る林道が終わる寸前で、砂防堰堤に突き当たる。
林道の終点に温泉がある。この川の名前は温泉に由来するのかも。
それ以上は、ヤマメは上れない。そこで引き返す。
さすが北の渓流。河口付近からオショロコマの入れ食いだ。
幅広ヤマメが時々混じる。
 観光客はやたらに多いけれど、釣りをする人は、筆者たち以外にいなかった。

ウトロ=ウトル・チクシ直訳ーその(岩の)間を俺たちが通るところ。
イワウベツ=イワウ・オイ・ベツ:硫黄のあるところの川。上流に温泉があるから、
    硫黄分があったのかもしれない。温泉川なら,ユーオイベツというはず。iwaubetu
知床=シリ・エトク:大地の鼻の意味で、地名の元は
レトク・オマナイで、
    大地の鼻にある川から来ている。siretoko

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