ヤマメとサクラマスの違いを教えて!
@ A
ヤマメ ・学名 Oncorhynchus masou
masou サクラマスとギンケヤマメ・学名Oncorhynchus
masou
masou
B
サクラマス・学名 Oncorhynchus
masou masou
最初に@ABの写真を比較して見てください。
魚に興味の無い人には、すべて同じに見えるだろうし、少し釣りをした人なら、
@は確かにヤマメだと認めるでしょう。ABについてもなるほどそうだろう、と一応は納得するはずです。
実は写真の作り方によって、そのように見えるだけで、本当は全部やマメの生息域で捕獲したものです。
@のヤマメはパーマークがはっきりしていて、比較物があるので大体の大きさが想像できます。
これをサクラマスだと言う人はいません。ABは大きさの比較が出来ませんので、
言われたとおりに納得する以外にないでしょう。つまり、ABは嘘の表示をしてあります。
ただし、学名の横文字だけは正確に表示しました。
3枚とも同じOncorhynchus masou
masouと気がついた人は、相当に魚に興味のある証拠です。
そんなことは、どうでもいいではないか、というのが普通の人の感想でしょう。
ところが、どうでもよくないのです。
特に、ルアーやフライフィッシングをする人にとって、
重大な関心事なのです。
実は、日本語の呼名は二つあって、ヤマメとサクラマスに分かれています。学名が同じで、
どうして呼び方を変えているのだという疑問に答えるには、
ながーい説明がいるので省略して、重大な関心事について話を進めます。
法律用語を混在させると、話が見えなくなるので、ありふれた表現にしよう。
『ヤマメは釣っていいけど、サクラマスは釣ってはいけません。法律によって罰せられます』
と言う条文があって、形の上で釣り人は、サクラマスを釣ってはいけないことになっています。
それでは、もともと同じ魚の呼名を区別して、片方は釣ってよい、片方は釣り禁止と言うのでは、
非常にわかりにくい。
法律に疎い釣り人にとって、いちいち釣れた魚を法律に照らし合わせて、峻別することは、まずありえない。
じゃ、法律があるのだから、ヤマメとサクラマスの明確な区分がされているのか?
と言う疑問に対してもノーと言わざるを得ないのだ。法律でさえ区別できないものを、釣り人に釣ってよい、
釣ってはいけませんと誰が言っているのか?
ここのところが、いかにも日本的とでも言おうか、曖昧模糊としているのです。
現に、ある釣り人が、サクラマスを大量に釣っていても、警察が介入して、逮捕したと言う話は聞いたことがない。
もし仮に、密漁と言う刑事裁判が行われて、サクラマスとは何かに議論が及んだとき、
明確な条文のないない魚に関して、裁判官は一体どんな判決を下すのだろう?興味津々である。
まあ一般的にはサクラマスといえば、50Cm,60Cmの個体を指しているけれど、
それじゃ49Cmはサクラマスではない、と誰が断言できるのか、
上の写真のように、35Cmでもサクラマスかも知れない。
一方、ヤマメは幼魚紋つまり、パーマークが体側に出ているものをさすけれど、
相当な大きさになるまで消えない個体もある。
以上は海から産卵のために溯上してくる、サクラマスの生息河川での話であって、
内陸部の湖になると、話は益々ややこしくなるのだ。
たとえば、銀山湖に放流されたヤマメは、ダム湖を海の代わりにして巨大化し、
いわゆるサクラマスと言われる大きさまで成長する。釣り人は、そこでは、サクラマスを自由に釣れるのだ。
海から遡ったサクラマスは釣ってはいけないけれど、湖ならいいですよ、
と法律には書いてない。当然何Cm以上がサクラマスですよとも書いてないのだ。
フライフィッシングやルアーの釣り人は、より大物を志向する。
えさ釣りの世界も、最近は大物(サクラマスかも知れない)を狙って、下流部へ釣り場が広がってきた。
このような現状の中で、当然釣り人は
『サクラマスを釣らせてください』
と要望を行政に提出する。ところが返事はいつも決まっている。
「サクラマスを釣り人に開放するのはなじまない」
どうしてなじまないのかの説明はない。
一般市民は、行政が説明しない部分を、想像で補うしかないのだけれど、
これからの行政には、アカウンタビリテーが求められている。
つまり、説明責任というやつだ。地方分権が進む中で、
住民をツンボ桟敷に置くことは、もはや許されない時代になってきた。
真面目な釣り人は、サクラマス釣りからは一歩も二歩もスタンスを取っていた。
半面,密漁者はあらゆる漁法を駆使してサクラマスを捕獲してきた。
釣り人をサクラマスから遠ざけてきた張本人である、漁業組合員の密猟も後を絶たないという。
罰則規定があるにもかかわらず,密猟者を取り締まる法律は、今までまるで機能してこなかった。
川は,国民全体のものであるにもかかわらず、ほんのごく少数の人たちのためにだけにあって、
大多数の人たちを締め出している現在の法律は、完全にまちがっていると思う。
蛇足になるけれど、サケを釣ると言う楽しみを,
多くの釣り人から取り上げてきたことが、ブラックバスの拡散につながったに違いない。
いわゆる内水面の漁業法ないしは,漁業調整規則が、もう随分昔に形骸化していたにもかかわらず、
改正をして来なかった。そのツケが今,ブラックバスによる
繊細な日本の自然の破壊という現実をもたらしたのであろう。
内水面漁業組合員総数50万人、そのうち99%は趣味で魚捕りをしている。
圧倒的に遊びの要素が大勢を占めている。
その幻の組合員を背景に,参議院に立候補する人がいるという。時代錯誤もはなはだしい。
もう、そういった利権がらみの選挙は止めようよ。
このような、悪しき慣習から抜け出さないと、明るい日本の未来が見えてこないじゃないですか!
筆者はもうトシだから、この先何年生きられるかおぼつかない。
最も濃密にかかわってきた、渓流釣りというジャンルから今の日本を見たとき、
腐りかけたシステムに、せめて風穴くらいは開けて、死にたいと思うのだ。
サクラマスに関しては、まだまだ多くの問題点があります。保護や開放のありかたは?
などなど、読者のご意見をいただきたいと思います。